中央構造線の謎
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断層探検11
雲仙地溝その1 布津断層  2015.5.4
中央構造線の西端を探検しました。
鹿児島本線 羽犬塚駅前に前泊。
前から気になっていましたが、変な名前の駅です。

なんと、ホントに羽の生えた犬が由来でした。
この世はワンダーランド♪

長洲駅下車。
左に巨大な金魚が!
生き物オブジェが続きます。

近くの港からフェリーで島原半島にわたります。


なぜか時刻表にないアバウトな時刻に出航。有明海を進みます。

前日の雨雲が残っているので天気はいまいち。

40分程度で多比良港に到着。

港は車がいっぱい待っています。後ろに付けた車に係員が「〇分待ちです。」と告げると、家族連れが「エー!」と絶叫していました。なるほど時刻表無視のピストン輸送の理由がわかりました。


島原鉄道 多比良町駅に移動。
島鉄は部分廃止の時(2008年)に来て以来です。

サッカーで有名な国見高校があるようです。
小学生のころはサッカー好きだったので憧れました。
「翼君!」、「岬君!」、懐かしい・・・。

南島原駅で降りました。
古い駅舎があったのですが、ちょうど建て替え中でした。残念。


仮駅舎にノボリが。
島鉄も力を入れているようです。
島原半島は全域が島原半島ジオパークです。


近くのバス停に移動。
代替バスで南下します。

なんとバス停の横に温泉が湧いています。
触ってみると、なかなかの湯加減。

何度かアップダウンを経て、布津支所前下車。


とりあえず東の海を目指します。
途中、この一本道は廃線路でしょう。
当たり前ですが、もうレールはありません。かつて古い気動車に乗って通ったはずです。廃線路に会うといつもモヤモヤした気分になります。

あまり勾配もなく、すぐに有明海に出ました。
遠くに熊本側が見えます。

海沿いに北上すると、鳥居発見。


ちょっとした崖の上に、地図にない琴平神社。実は断層崖の端っこに位置します。


近くに展望台発見。


天気が悪く雲仙は見えませんが、目の前に大地溝があります。


中央構造線MAP(非公式) 改訂しました。


ここは布津断層の東端。バスでスタートした島原市辺りまで、およそ10kmも大地が南北に割れ、その溝を雲仙の火山噴出物が埋めました。これを雲仙地溝といいます。つまりここには大規模な正断層があります。
阿蘇と同じく、これ程の地殻変動を引き起こすのは並みの断層ではありません。諸説ありますが、私はここを中央構造線が通ると結論しました。
橘湾(これもカルデラ)の辺りで北西に折れていますが、この理由は後ほど・・・。

バスで登ってきたのは右の国道です。
断層の上をたどって左に進んでみます。

その名も展望ハイツ
天気が良ければ、それはそれは絶景でしょう。

坂を下りる道があったので、ちょっとのぞいてみます。雲仙は見えませんが、雲仙地溝を見渡せます。ここは北落ちの正断層。


地図にない若宮神社
隠れキリシタンの聖像が祀られているそうな。
島原の乱があった地ですが、信徒は生き延びていたのですな。

中学生球児が元気にダンシング登坂していきます。
オジサンは息も絶え絶えです。

少し青空が見えてきました。


ずっとバス停が続いていたので、もしかすると街道なのかもしれません。逆断層の下に一本道があることが多いのですが、正断層の場合は断層崖の上の方がいいのでしょうか?


地図にある多良神社
意外に小規模で呆然。

なるべく断層崖に沿って引き返します。
農地の先に、天草方面の海も見えました。


断層崖を下ります。


ここに緑色片岩が見られればラッキーなのですが、そんなに簡単にあるはずありません。


蛍がいるようなので、断層崖から湧水があるのでしょうね。


直線状の布津断層。
なかなかの威容です。


近くに水神社
湧水を祀っているのでしょう。


近くの案内看板。
左側が今回たどった布津断層。
右にももう一本あります。これはどうやら深江断層。同じく正断層です。


あとはバス停まで下るだけ。
油断して左へ進んだら行き止まりで、急勾配を引き返す羽目に・・・。


国道は、なかなかの急勾配で布津断層を越えているのが見えます。


バス停に着きました。
西を見ると布津断層の威容が見渡せます。

さて、これからどこへ進むか迷いましたが、半島をぐるっとひと回りすることにしました。


雲仙地溝その2 千々石断層  2015.5.4
かつての終点、加津佐駅前で乗り換えて、西に回りこみました。
自動放送で、これから道が悪くなるような案内があると、とたんに山道に入ります。雲仙地溝に再突入です。

小浜温泉にオバマ大統領の像があるのが印象的でした。(笑)


何度もアップダウンを繰り返すと、千々石断層が見えてきました。
さてどこで降りようか迷ううちに、愛野展望台まで来てしまいました。まあ結果オーライですが。

これは絶景!
橘湾の大パノラマが拝めます。


高さは100m位。
ここは南落ちの千々石断層の真上です。
つまり橘湾は雲仙地溝の一部なのですね。そしてここは千々石カルデラでもあります。


反対方向のバスで、往路で見つけた大鳥居まで戻りました。
その名も橘神社。橘湾の鎮めか?それとも雲仙の鎮めか?

実は日露戦争の英雄・橘中佐を祀っているのでした。昭和15年創建。


こっちは戦国時代の有名人。
ここの出身でしたか!
いろいろと悩める人物です。人生間違いたくないから悩むのですね。まじめな人ほどたいへんですな。


だんだん天気は回復してきましたが、どうもすっきり見えてくれません。


新しい神社ですが、地元で初詣といえばここだそうです。


周囲を調べると、橘神社のさらに奥に古そうな天満宮がありました。
雨上がりの石段がコケ蒸していて、たいそう恐怖しました。

高台から望むと、橘湾から続く千々石断層の威容が望めます。
ほとんど真っ直ぐ、島原市まで続くのでしょう。南落ちの正断層がよくわかります。


望遠でのぞくと、さっきの展望台が見えました。一般客のようにただ「きれいだなぁ」と見るのではなく、地球のドラマを知った上で眺めると見え方が変わって、魅力が深まりますね。ぜひ何事も学んだ上で堪能しましょう。ネットの膨大な情報はほぼ無料の時代ですし。


おや、橘中佐のお墓は神社の外でした。
なかなか眺めの良い好立地ですな。


山間地を歩いていると、時々見かけるハイテク獣除け
仕事柄、たいへん興味深いのですが、万一気絶でもすると後に差し支えるので触るのは我慢します。何ボルトあるのかしら?交流?直流?気になる、気になる。

検索すると近くにあった温泉神社
島原半島には温泉神社がいくつもあります。


もんげ~!妖怪コマさんもびっくり。
なんてコミカルな狛犬でしょう。



えっ!?
屋根の上で狛犬がシャチホコをまねて倒立しています。
何の意味が・・・?
そもそも神社にシャチホコが載っているのも違和感が・・・。

やっぱり変だ!
マンガのキャラのような狛犬。
抱腹絶倒の爆笑神社でした。


実は雲仙を古くは「温泉」と書いたのでした。どうりで近くに温泉はありません。

温泉神社は雲仙の鎮めなのでしょう。
辺りは地元の人々が多数散歩していました。いい季節です。

まもなく日没。
千々石海水浴場で夕景を眺めました。

ちなみに橘湾も古くは千々石湾と呼ばれていたそうです。橘湾も橘中佐にちなんで改名したのでした。



雲仙地溝その3 長崎半島の結晶片岩  2015.5.4
翌日は、長崎駅からバスで長崎半島を探検です。小ヶ倉下車。
南に見える墓地の山塊が目的地です。

ところどころ、岩石が露出しています。
確かに層状です。


こちらは屋根があるので風化が少なそうです。


フェンスの間から確認すると、確かに緑のミルフィーユ。緑色片岩です。


長崎半島は緑色片岩で出来ているのでした。長年の課題を、この目で確認することが出来ました。

感動しながらリンガーハット野菜たっぷり皿うどんを堪能。本場はやっぱりうまい??

国土地理院 日本シームレス地質図


公の資料で、長崎半島も西彼杵(にしそのぎ)半島も明確に三波川帯です。
認めたくない専門家も多いようですが、私はこの目で見ました。
確かに緑色片岩はありました。なので中央構造線はこれらより東にあるはずです。
なぜ橘湾で折れているのかは、はて、わかりません・・・。鹿島沖で棚倉構造線に折れていくように、何かがあったのでしょう。もしかしたら三波川帯ごと千切れたのかな?

市内に戻ると市電は大混雑。さすが観光地。
しょうがなく、意図せず街を散策してしまいました。



何とか乗り込んだ市電で、なんとなく降りた松山町電停。まるで導かれるようにここまで来てしまいました。像が指差す500m上空でプルトニウム原爆が炸裂しました。言い分はあるでしょうが、やはり無差別大量虐殺は正しい科学の使い方とは思えません。
ベンチにじっとたたずむ高齢男性の姿が印象的でした。


木崎湖の糸静線  2015.5.24
撮り鉄ついでに木崎湖を訪問しました。
大糸線 信濃木崎駅下車。
すぐに反対列車がやってきました。

この電車(E127系といいます)は運転席後ろの北アルプス側に巨大なトイレがあるので、眺めが悪くていつも残念に思います。
ひっくり返すとボックス席が反対側になっちゃうし・・・。

北へ進みます。
安曇野の平地が突然しぼんで隘路が迫ります。


谷の入り口にお堂がありました。


地元ニュースで話題の大北森林組合
巨額補助金不正受給問題に揺れています。
廃屋にならなければいいのですが、糸静線ほぼ直上です。

断層崖に沿って特急あずさが快走していきます。


はて、こんなところに高速道路?
地図を見ると、国道が隘路を避けてトンネルに突入しています。


私は木崎湖に沿った道を進みます。
さわやかですが、もうセミが鳴いています。


すぐに湖が見えました。
仁科三湖のひとつ、木崎湖
糸静線が造った谷に出来た湖です。
谷が深いから湖になったのでしょうが、考えてみるとちょっと不思議で危うい。次の活動で湖水はどうなることやら。

やっぱりあった!
地図にない神社発見。


八幡神社
本殿もある本格派です。


ここも断層崖の上でしょうか?
糸静線の本体は木崎湖の中を通っています。

この日は自転車ロードレースが開催されています。(そのための団体列車を撮影に来たわけです。)

しばらく進むと国道が再び現れました。
姫川沿いもそうですが、破砕帯なので崖に沿って道を通すよりは、思い切ってえいやっとトンネルにした方がいいのでしょう。

稲尾駅到着。
しばらく撮り鉄を堪能。


地図を調べると東に神社があるようです。

自転車の皆さんもこっちの道へ誘導されていきます。どうやら山道のようです。
山岳コースというやつですな。ケイデンスを上げろ!

下諏訪神社
「下」が付くのは珍しいですね。


下社系ということなのかしら?
でも御柱が見当たりませんね。
過疎化で維持が難しいのかもしれません。

方向指示のサインがカッコいいですね!
この自転車はロードレーサーといいます。
30万円くらいするそうな。
実は最近、かなり気になります。

弱虫ペダル 
高校生レーサー達の物語です。
TVアニメ版を全部見てしまいました。がんばる小野田君がすごいんだわ。(泣)
でも私の体重では・・・無理。



(無断転載失礼)

撮影を無事終えて、私は体重無制限の電車で帰ります。
最近、大きな地震や火山噴火が多いですね。ぜひ非常用備品の点検を!



三陸訪問 その1  2015.9.20
あれから5回も夏が過ぎました。
【八戸市】

早朝、八戸駅をスタート。
三陸海岸沿いを南下します。

海に沿って進みます。
JR八戸線も大きな被害を受けました。


【久慈市】

「あまちゃん」の北三陸市に到着。


右がJR、左が三陸鉄道の久慈駅です。


三陸鉄道の有名食堂。
うに弁当はやっぱり売り切れ・・・。


代わりに にしんそば を頂きました。
美味。


駅周辺に被害はなかったようです。

えっ一両?
立ち乗りになるかな?

幸い観光用?の豪華な二両編成でした。
ボックス席に落ち着きます。

海に近づくと、更地が出現。
はじめて見ました。

【宮古市】

田老駅下車。

駅前は広大なソーラー発電所。
もちろん元々は街がありました。

有名堤防に登ってみると、内も外も工事現場です。


ツメ痕がリアルに残っています。
高さ10mでは全く足りませんでした。

白い部分は、その後追加したのでしようか?
まだ足りないような・・・?

ここに町があったとは信じられません。
堤防の大きさに安心してしまったのですね。

定説、常識、安全神話。私も大嫌いになりました。

なぜか堤防は二重です。
海側は簡易的だったのか、激しく壊れています。


堤防を下りると神社発見。


しめ縄が破損していますが、あれ以来、保守する人がいなくなったのかもしれません。


かなり登りました。
わりと近代的な熊野神社



ここまで逃げれば大丈夫でしょう。
古代人の警告か?子孫への祈りか?

やはり神社には古代人のメッセージが託されているように感じます。


こちらは新しい神社と古い祠?。
どうやら、この高さが必要な模様。


再び三陸鉄道に乗って、宮古駅到着。
駅前では賑やかにカラオケ大会です。


しばらく待って、路線バスに乗ります。
あの日、閉伊川を逆流する津波の映像を思い出しました。

【山田町】

ここは高台の道の駅。
バスを乗り換えます。


乗り換えたバスからJR山田線が見えました。
三陸鉄道が引き継いで復旧するそうです。

【釜石市】

釜石駅前到着。


駅舎は健在ですが、やはり浸水したようです。



三陸訪問 その2  2015.9.21

【釜石市】

早朝、宿から駅へ向かいます。
やはり、以前来た時とは町の様子が違います。

この風景は変わりません。
鉄の街に三陸鉄道の気動車がやってきました。


その折り返し列車に乗ります。


【大船渡市】

終点の盛駅到着。
三陸鉄道とBRT(バス高速輸送システム)の乗換駅です。


普通の路線バスのように見えますが、一部、専用バス道路を走ることで高速輸送を可能としています。
残念ながら、どうやら鉄道での復旧は断念してしまったようです。

このシステムは鉄道好きには脅威ですね。今後、他のローカル線も転換していくかもしれません。完全廃止よりはマシですが・・・。


BRTに初乗車。
大船渡市内には被災跡が残っています。


車窓から鳥居と急階段が見えました。
貴船神社かな?


【陸前高田市】

この市はかさ上げを決断しました。
千年先のために山を切り崩し、低地を埋めています。

山の中の陸前高田駅で下車。


周辺は市役所や公共機関とセブンイレブンのみ。100円コーヒーで一服。


海ははるか彼方で見えません。
生まれ変わる陸前高田に期待しましょう。人々が帰って来ますように・・・。


乗り換えたBRTから有名な松が見えました。
多額の保存費用は寄付で賄われたようなので、何も言いますまい。


【気仙沼市】

この駅は無事でした。


ここもJR大船渡線とBRTが平面で乗り換えできます。


乗り換えたBRTから神社が見えました。
あの大火災から人々を守ったのでしょう。


【南三陸町】

ここもかさ上げ中の街。
鉄骨がチラッと見えました。


やっぱり、南三陸町防災対策庁舎
保存の是非でもめていましたが、保存が決まりました。
「残して当然」と思っていましたが、周りを見れば事情が分かります。残せばかさ上げできません。危険な場所が残ってしまうのです。


他にも被災建物が見えました。
こっちは残さないだろうな・・・。


すぐに海。
津波の映像や放送の声がよみがえります。


内陸を進んで、
JR石巻線 前谷地駅到着。
ここからは久しぶりに鉄道です。

【女川町】

槌音響く女川駅到着。
かつて線路の横に気動車が飾ってありましたが・・・。


海がこんなに近かったとは。
前に来たときは、すぐに折り返したっけ。
時刻表を見ると、今も列車はあまり長居しませんね。


高台の女川町地域医療センター


この医療センターの一階まで水没したそうです。
震源に一番近い女川町を襲った津波は20m以上でした。


近くの神社を探してみると、医療センターの裏手にあるようです。


なぜか社殿はありませんが、熊野神社
「医療センターの高さじゃダメなんだよ・・・」という古代人の嘆きが聞こえてくるようです。神社に逃げた人は確実に助かったでしょう。

医療センターの二階では写真展開催中。
孤立した職員たちは奮闘しました。


ここの足元まで水が来たとは信じられません。


医療センターの高台から下りる途中に慰霊碑がありました。
海側の銀行では、屋上に避難したために多くが犠牲となりました。


【石巻市】

石巻線を引き返して石巻駅で下車。
このオブジェには見覚えがあります。

駅舎も健在。


でも浸水はあったようです。
石巻市の死者は3700名以上。市町村最多です。

私の研究のきっかけにもなった東日本大震災
戦争と同じで、将来も同じような犠牲者を出したら、死者は無駄死にになってしまいます。
古代人の祈りは現代の私たちに引き継がれました。そして千年後に引き継いでいくしかありません。
自分には何ができるのか?あらためて考えさせられる旅でした。




つづく